やんばいでございます。静岡県川根本町千頭駅前にございます井川メンパ大井屋前田です。こんばんわ
遠鉄百貨店での静岡県郷土工芸展も終わりほっとしてたらあっという間に月末です。花粉から桜の季節に切り替わる勢いに心も体も追い付けず、ちょと放心気味な今日でした。いやメンパは相変わらず作っているのですが、どうも追いかけられるのが苦手な私は在庫切れというプレッシャーにあっぷあっぷなのかもしれません。とにかく5月の連休には間に合うように製作しています。どうぞご期待ください。もうしわけございませんが現時点ではほぼ在庫切れなので注文生産は概ね半年待ちとさせていただいております。どうしてもサイズ限定の人はあらかじめ時間がかかると覚悟して予約ください。
ところで今日気づいたメンパのことで面白いことがあります。それはメンパの木の厚みの秘密について
かつて井川メンパ望月で修行した私はメンパのレシピをあれこれと望月流を伝授していただいたのですが、どうもその諸々がもっと以前のオールドメンパと違っていることに気づき始めたのが大井屋となってから修理を承るようになったちょうど二年前くらいでした。
どういう意図でそのようになっていったのかを知る上で古い時代のメンパと出会うのは必然の流れだったように感じています。きづいたいくつかの事象その中の1つで底板の厚みについて思っていることがあります。
望月さんのメンパは底板の厚みがほぼ一定に決まっており、だいたいこのくらいという設定がしっかりもうけられていました。なのでそれよりも厚かったり薄かったりは許されずとにかく正確にその値へもっていくことをしこまれたのです。
オールドメンパを見ていくと底板の厚みが製作者によってかなり差があるように感じました。薄いのもありますが厚いのも沢山ありました。側板に関してはほぼどの時代、製作者も一定に規準を遵守しているように思います。
つまり底板に関しては明確な定義がなされていなかったのは、ある程度製作者の意図で変化させることが可能な領域だったのかと思われます。例えば木曾のメンパなどは底板のそれ自体が檜ではなくさわらを最近は使っていると聞きましたし、中部メンパ圏でも底板はけっこう自由度が高いようです。
そして実は大井屋の井川メンパは修行時代のそれより1ミリも厚くしているのですがこれは今回初公開ネタです。それはなぜか?と言いますときっかけは単なる怪我の巧妙というところでしょうか?製材も自分達で行う大井屋ですが、我々の使う製材機械がアメリカ仕様な為に薄く切る設定に丁度合うメモリがなかったので厚く切り出さざるを得なかったのです。
実は我々のような小物を木地にする界隈では1ミリのちがいというのは大袈裟に言うと2割から3割くらいの原価が変わってきてしまいます。同じサイズの角材から七枚の板が取れるはずなのに、厚いがゆえに五枚しか取れないということになるわけです。作業性も落ちますのでコスト的には良いとは言えないのですが、当然厚みがある方が商品となったときに耐久度もあり重厚感があります。また木材は厚みが1ミリ違うだけで保温力が数倍高まると言われています。そういう意味では大井屋のメンパは保温力が増しますから昼時になっても冷飯感は軽減されるかもしれません。
そして気になるのが底板の厚みが増え分の重さについてですが面白い事実を発見しました。木の厚みが増した分重みが増えていると思いきや、修行時代のメンパと現状のメンパと重さを比較したところ厚みが増している今のメンパの方が25から30%程も軽いことがわかりました。
昔と今での違いは何か?
一つは木材の原産地。大井屋のメンパはすべて大井川流域産になりました。硬い分軽いのかもしれません。
一つは木材の乾燥度。現状サイクルで天然乾燥3年となりました。毎年使いきれないほど仕込んでいるのでこのサイクルもどんどん長くなります。
一つは漆塗り技法の肯定的変化
修行時代は良くわからなくも言われるがままにただ分厚く塗るという野暮に走っていたし、そもそも漆自体が今の100%漆とは違うものでした。
現在は時価精製した混ぜ物0のナチュール漆を使いますし、塗りの技法も摺からの刷毛。刷毛の走らせ方もだいぶ変わってきました。
他にもいくつか要素があるのかもしれませんが、自分でも驚くほどに軽量化されてきていることに今日気づいたのです。そういえばオールドメンパもふわりとかるいくせに見た目は重そうな重厚感を醸しています。先人に少し近づけたのかもやしれません。
そんなこんなでこんな景色の中で毎日生きていますが、私は今後も誰に言われるまでもなく私がやりたいと思う方法論と精神論でもって井川メンパを作り続けていきます。
今後とも井川メンパ大井屋の活動を御贔屓ください。よろしくどうぞ
諸々のお問い合せは井川メンパ大井屋まで
静岡県榛原郡川根本町千頭1225-8
050-5894-2806
maedapassion@gmail.com
営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜
メンパの塗り直しは2月8月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から
にほんブログ村
遠鉄百貨店での静岡県郷土工芸展も終わりほっとしてたらあっという間に月末です。花粉から桜の季節に切り替わる勢いに心も体も追い付けず、ちょと放心気味な今日でした。いやメンパは相変わらず作っているのですが、どうも追いかけられるのが苦手な私は在庫切れというプレッシャーにあっぷあっぷなのかもしれません。とにかく5月の連休には間に合うように製作しています。どうぞご期待ください。もうしわけございませんが現時点ではほぼ在庫切れなので注文生産は概ね半年待ちとさせていただいております。どうしてもサイズ限定の人はあらかじめ時間がかかると覚悟して予約ください。
ところで今日気づいたメンパのことで面白いことがあります。それはメンパの木の厚みの秘密について
かつて井川メンパ望月で修行した私はメンパのレシピをあれこれと望月流を伝授していただいたのですが、どうもその諸々がもっと以前のオールドメンパと違っていることに気づき始めたのが大井屋となってから修理を承るようになったちょうど二年前くらいでした。
どういう意図でそのようになっていったのかを知る上で古い時代のメンパと出会うのは必然の流れだったように感じています。きづいたいくつかの事象その中の1つで底板の厚みについて思っていることがあります。
望月さんのメンパは底板の厚みがほぼ一定に決まっており、だいたいこのくらいという設定がしっかりもうけられていました。なのでそれよりも厚かったり薄かったりは許されずとにかく正確にその値へもっていくことをしこまれたのです。
オールドメンパを見ていくと底板の厚みが製作者によってかなり差があるように感じました。薄いのもありますが厚いのも沢山ありました。側板に関してはほぼどの時代、製作者も一定に規準を遵守しているように思います。
つまり底板に関しては明確な定義がなされていなかったのは、ある程度製作者の意図で変化させることが可能な領域だったのかと思われます。例えば木曾のメンパなどは底板のそれ自体が檜ではなくさわらを最近は使っていると聞きましたし、中部メンパ圏でも底板はけっこう自由度が高いようです。
そして実は大井屋の井川メンパは修行時代のそれより1ミリも厚くしているのですがこれは今回初公開ネタです。それはなぜか?と言いますときっかけは単なる怪我の巧妙というところでしょうか?製材も自分達で行う大井屋ですが、我々の使う製材機械がアメリカ仕様な為に薄く切る設定に丁度合うメモリがなかったので厚く切り出さざるを得なかったのです。
実は我々のような小物を木地にする界隈では1ミリのちがいというのは大袈裟に言うと2割から3割くらいの原価が変わってきてしまいます。同じサイズの角材から七枚の板が取れるはずなのに、厚いがゆえに五枚しか取れないということになるわけです。作業性も落ちますのでコスト的には良いとは言えないのですが、当然厚みがある方が商品となったときに耐久度もあり重厚感があります。また木材は厚みが1ミリ違うだけで保温力が数倍高まると言われています。そういう意味では大井屋のメンパは保温力が増しますから昼時になっても冷飯感は軽減されるかもしれません。
そして気になるのが底板の厚みが増え分の重さについてですが面白い事実を発見しました。木の厚みが増した分重みが増えていると思いきや、修行時代のメンパと現状のメンパと重さを比較したところ厚みが増している今のメンパの方が25から30%程も軽いことがわかりました。
昔と今での違いは何か?
一つは木材の原産地。大井屋のメンパはすべて大井川流域産になりました。硬い分軽いのかもしれません。
一つは木材の乾燥度。現状サイクルで天然乾燥3年となりました。毎年使いきれないほど仕込んでいるのでこのサイクルもどんどん長くなります。
一つは漆塗り技法の肯定的変化
修行時代は良くわからなくも言われるがままにただ分厚く塗るという野暮に走っていたし、そもそも漆自体が今の100%漆とは違うものでした。
現在は時価精製した混ぜ物0のナチュール漆を使いますし、塗りの技法も摺からの刷毛。刷毛の走らせ方もだいぶ変わってきました。
他にもいくつか要素があるのかもしれませんが、自分でも驚くほどに軽量化されてきていることに今日気づいたのです。そういえばオールドメンパもふわりとかるいくせに見た目は重そうな重厚感を醸しています。先人に少し近づけたのかもやしれません。
そんなこんなでこんな景色の中で毎日生きていますが、私は今後も誰に言われるまでもなく私がやりたいと思う方法論と精神論でもって井川メンパを作り続けていきます。
今後とも井川メンパ大井屋の活動を御贔屓ください。よろしくどうぞ
諸々のお問い合せは井川メンパ大井屋まで
静岡県榛原郡川根本町千頭1225-8
050-5894-2806
maedapassion@gmail.com
営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜
メンパの塗り直しは2月8月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から
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