2015年09月
柿渋と港町の関係
今年の夏のメンパ修理も終わり、10月分の制作に全力投球中の井川メンパです。
これは修理前のメンパ。底の漆がはげておりますね。お箸が当たりやすいところから禿げてしまいます。ここまでいくと下地がでてしまっているので新品同様にまでは戻りませんが、漆のパテで養生しますので機能的回復は可能です。捨てずにまずはご相談を。
今回は約100件ほどの修理依頼でした。師匠曰く、修理の依頼が今までで一番多かったと。
ぱっと観るだけでも年代によって微妙に漆の光沢や色合いが違っているのがわかります。
同じ商品に見えて、時代や製作者の感性や個性によって意匠が変るのも井川メンパ。それらも併せて楽しんでいただければと。
さて、先日から柿渋を仕込んでおりますワタクシですが、それ以来「塗料としての柿渋」を掘りさげている毎日なのですが、おもしろい柿渋話を拾ったのでご紹介。
私の先入観から、渋柿って山間の山村ばかりに繁茂しているとばかり思っていました。今回柿渋造りにあたって渋柿を手に入れたいと思ったところで、山奥までもらいにいかないと。と覚悟していました。
ちなみに私の生まれ故郷で現在生活しているのは静岡市沿岸部。港町。台風中継でお馴染みの用宗。
なのですが、この港町周辺には渋柿の大木がけっこういろんなところにあるのです。
今回も自宅隣の放棄畑に渋柿が大量にあり、地権者にお願いしたら「毎年腐らせてるだけだし、いくらでももっててーー」とのこと。でもって数日のうちに「うちのもいらないからもっててー」と。いろんなところからお話をいただくという結果に。
これはどういうことだ?と思って少しだけ調べてみたところ、どうやら昔の漁師には柿渋は必須だったそうです。
例えば漁網や、浮きに柿渋を塗り強度を上げたり甲板や船底なんかにも柿渋を定期的塗っていたようです。その為に漁村には大きな柿渋用の瓶が埋めてありそこに柿渋を入れて保存していたところもあったとか。
てっきり山奥だけの文化だと思っていたのですが、海にも縁があったのですね。
というか、昔全般的に日本人の生活には欠かせないマストアイテムだったようですね。柿渋。
それから漆と同じように酸素と結合して皮膜をつくる酸化重合という働きをする柿渋。非常に漆の作用性と類似しているところから、漆の代用として使用していた経緯もあったかと。その辺を今後勉強していきたいところです。
そんな柿渋をこれでもか!!ってくらいに利用する井川メンパ。展示会などでお手に持ってみてください。漆の下にはそんな下地の物語があったりするのです。柿渋とベンガラの渋下地はなんとも言えないあたたかみのある風情です。漆塗るからわからないかもですが。工房に遊びにこられたら見れる機会が
あるかと。見学は事前連絡していただければ基本可能です。
今日は一日二人でこくそ付けでした。現代的な接着剤を使わないのはなかなか大変な作業なのです
これは修理前のメンパ。底の漆がはげておりますね。お箸が当たりやすいところから禿げてしまいます。ここまでいくと下地がでてしまっているので新品同様にまでは戻りませんが、漆のパテで養生しますので機能的回復は可能です。捨てずにまずはご相談を。
今回は約100件ほどの修理依頼でした。師匠曰く、修理の依頼が今までで一番多かったと。
ぱっと観るだけでも年代によって微妙に漆の光沢や色合いが違っているのがわかります。
同じ商品に見えて、時代や製作者の感性や個性によって意匠が変るのも井川メンパ。それらも併せて楽しんでいただければと。
さて、先日から柿渋を仕込んでおりますワタクシですが、それ以来「塗料としての柿渋」を掘りさげている毎日なのですが、おもしろい柿渋話を拾ったのでご紹介。
私の先入観から、渋柿って山間の山村ばかりに繁茂しているとばかり思っていました。今回柿渋造りにあたって渋柿を手に入れたいと思ったところで、山奥までもらいにいかないと。と覚悟していました。
ちなみに私の生まれ故郷で現在生活しているのは静岡市沿岸部。港町。台風中継でお馴染みの用宗。
なのですが、この港町周辺には渋柿の大木がけっこういろんなところにあるのです。
今回も自宅隣の放棄畑に渋柿が大量にあり、地権者にお願いしたら「毎年腐らせてるだけだし、いくらでももっててーー」とのこと。でもって数日のうちに「うちのもいらないからもっててー」と。いろんなところからお話をいただくという結果に。
これはどういうことだ?と思って少しだけ調べてみたところ、どうやら昔の漁師には柿渋は必須だったそうです。
例えば漁網や、浮きに柿渋を塗り強度を上げたり甲板や船底なんかにも柿渋を定期的塗っていたようです。その為に漁村には大きな柿渋用の瓶が埋めてありそこに柿渋を入れて保存していたところもあったとか。
てっきり山奥だけの文化だと思っていたのですが、海にも縁があったのですね。
というか、昔全般的に日本人の生活には欠かせないマストアイテムだったようですね。柿渋。
それから漆と同じように酸素と結合して皮膜をつくる酸化重合という働きをする柿渋。非常に漆の作用性と類似しているところから、漆の代用として使用していた経緯もあったかと。その辺を今後勉強していきたいところです。
そんな柿渋をこれでもか!!ってくらいに利用する井川メンパ。展示会などでお手に持ってみてください。漆の下にはそんな下地の物語があったりするのです。柿渋とベンガラの渋下地はなんとも言えないあたたかみのある風情です。漆塗るからわからないかもですが。工房に遊びにこられたら見れる機会が
あるかと。見学は事前連絡していただければ基本可能です。
今日は一日二人でこくそ付けでした。現代的な接着剤を使わないのはなかなか大変な作業なのです