やんばいでございます。静岡県榛原郡川根本町千頭大井川めんぱ大井屋店主の前田です。こんにちわ。

今日もそれなりに寒い奥大井ですが、なんだか少しづつ春に向かい始めたなという日の長さになってきました。もう少し、もう少しで春の伊吹が聞こえてきそうですね。今年も無事に?春を迎えられてなんだか幸せでございますよ。

さて井川メンパの修理返却が始まっております。まだ全員には連絡しきれておりませんが、連絡のきている方は大井屋まで随時取りに来てくださいね〜

修理品と一緒に新しいメンパ頼んだ系の人はまだまだできるのに時間がかかるので先に送って欲しい人はいうてくださいね!

そして今年は確定申告の準備などはもう大体終わってきたのでここからは制作に没頭する日々に突入できそうです。そういう意味でも春はやはり気持ちがいいものですね。



制作の合間にどうしても注意力が持たなくなってくると本をツマミ読みしたりする前田。最近手に入れた古書はこれ。海野信茂日記 井川村史別巻 宮本勉著作 というものです。

井川村史を編纂した宮本勉さんという人はどういう人だったのだろう?井川という場所を知るにはこの人の書いた本はとても参考になるので最近色々買い集めさせていただいて読み込んでいるのですが、単純に井川という土地の殿様だった人の日記としても大変興味深いのですが、幕末の一豪族の士族がその頃どのような生き方をして日々どんな雰囲気で生きていたのか?特に駿府の街と井川という田舎を行ったり来たりするその中での生活を赤裸々にしている日記というのは当時を知る面白い資料だと思うのです。



もちろん鎌倉時代以前からの歴史も面白い井川なのですが、こういう中世から近世にかけての人間模様を知ることができるのはとても興味深いのです。当然この日記の中で前田が拾っているのがうるしや井川メンパとの関係性です。

諸々面白い記述を見つけております。越前うるし衆などそれ以外にもうるしを商う他の集団との交流なども記載されていて面白いのです。


私の漆かき師匠の高橋康夫氏もこの越前うるし衆の末裔と聞きますし、駿府の街にそういう漆問屋が常駐していたという事実とともに駿河漆器の形成における歴史を知るにも大事な資料だと感じています。




海野氏の家系を調べ尽くしている面白いサイトもありました。戦国期から江戸期にかけて井川と安部大蔵から続く静岡の海野氏が全国的にも最大勢力になっているあたりも静岡と海野氏のつながりの深さが伺えます。



井川メンパの系譜にも海野さんがおられましたがどんな関係性かは前田はよくわかりませんのでその辺詳しい人がおられればぜひ伺いたいものです。



メンパとかこういう工芸品をやっているとどうしても小手先の技術や見栄えばかりに目がいくものですが、前田が大井屋が大切にしたいと思っているのはこのような歴史というものに深く影響されるものづくりを少しづつでも紐解いてどんな世情や風俗の変遷を経て工芸品の作りが変わってきたかを推測し、そこへ立ち返って復元しさらにはその上に立って初めてある種のイノベーションを興すべきだと考えています。

例えば我々が漆の高等技術を何かしらの形でメンパに投影させて商品としての付加価値を高めることは以外にも容易な選択肢だと思っていますが、大井屋の目指しているのはそのようなものではなく、このような膨大な歴史と人生模様の中で変遷をしてきたメンパという躯体を深く理解しそこを取り戻しながらもリビルドしていくとでも申しましょうか?何かを新しくするよりもよほど難しい記憶を辿る作業を経て初めて本来の井川メンパというものに辿り着けるだろうという思いを持っているのです。



すでに大井屋は大井川めんぱを掲げておりますが、心は常にこの一点を見据えているのです。表現が難しいので伝わらない人には伝わらないとは思いますが、わかる人に伝わればそれでいいと思っています。



歴史を学ぶことはそれほど難しい時代じゃない。であれば、どんな職人も字が読めるという程度のスキルさえあればこういう原初に立ち返ることを厭わずに立ち向かうべきだとも思います。つまり小学校さえ出ていればチャレンジできる業界だと思うのです。そういう意味では。



漆と檜とどのような新しい表現ができるか?メンパ以外にも表現の仕方がありますので、大井屋はむしろメンパは原初へと手繰り直し、それ以外にてどんどんと新世代の漆器というものへのアプローチを続けて両軸で持って未来を切り開きたいと願っています。


最近川根本町には、てんでんこという古民家図書館カフェができました



またここの蔵書が民俗学を中心にした前田のど真ん中ストレートでもう住み込みたい勢いなのです。宿屋じゃないんですけどね(笑)

ここに吸い寄せられるようにそういう民俗学への意識を持った若者たちも集まりつつあるのです。
川根や井川や春野、安倍奥などは言語学や民俗学にとってとても興味深いフィールドなのは間違い無いです。田舎というのはただ単に勢いのある若者が必要なのではなく、年齢や職業や経歴は関係なくもこういう志を同軸にしたコミュニティが産まれていくこと自体がとても大事であり未来を拓くエネルギーの醸成に繋がっていくように思います。



前田は日々めんぱでいっぱいいっぱいですが、こういう魅力的な交流の場ができたことでまた別視点での井川メンパや杣人の生き方を知る契機になってくることを嬉しく思っています。


民藝は今まで職人というカテゴリーに委ねられてしまい衰退の一途を辿ってきたとも言えます。アカデミックに検証し直す時期が来ていると思うのです。それも内部からです。職人自らが深くそこを生涯かけて学び実践してこそ本当の民藝が感じられることになるのでは無いでしょうか?前田何度も忖度無く伝えたいのは、こういう積み重ねを怠らずにむしろそこに時間を割いて民藝の再興をすべきだと思うのです。値段だとか売れる売れないだとかに一喜一憂し人生を終えることほど寂しいものはないと思うのです。


気づくか?気づかないか?それは職人次第なのかもしれません。



ではまた明日!

大井川めんぱ一年以上待ちにつき予約停止のお知らせ
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古い井川メンパの塗り直し判断基準
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大井川めんぱ憲章 大井屋の守り継ぎたいこと
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曲げわっぱやめんぱのボンド仕様について
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大井屋漆ギャラリーくるみんじょオープンのお知らせ
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井川メンパ大井屋から大井川めんぱ大井屋へ名称変更の話
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大井川メンパを購入する前に知っておきたい10のこと
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伝承は本当だったメンパ飯の美味しい食べ方
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メンパ修理の持ち込み先(島田市)
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大井川メンパ大井屋価格表
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大井川メンパの通販 
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井川メンパのお手入れの仕方
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大井屋までの道順
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大井川メンパ大井屋の提携店
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静岡県榛原郡川根本町千頭1225-8
050-5894-2806
maedapassion@gmail.com

営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜 木曜

井川メンパの塗り直しは1月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から。静岡県中部の方は店舗までお持ち込みください。

ただし大井屋で販売した大井屋印の井川メンパは年中いつでも修理対応いたします。また全国どこからでも郵送にて送ってください。優先して対応しております。

メンパは塗り直しだけではなくリメイクしてタッパー型のおかずメンパにすることができます。お弁当として引退したメンパはタッパーメンパにリメイクしてぜひご家庭にて使い続けてください。

ネーム入れのサービスも開始しました。詳しくは大井屋ブログを参照ください
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