やんばいでございます。井川メンパ大井屋店主の前田です。今日は奥大井シトシト雨降ってます。おはようごぜえますだああああ!!!!

大井川めんぱ大井屋へ名称変更のご挨拶

さてさて大井屋の新人石関華(就職して半年経ったので新人とも呼びづらくなって来たねえ)を引き連れて、先日井川の本村にある井川メンパ海野さんのお宅を訪問させていただきました。その時に感じたいくつかのお話を今日はのんびり語っておきたいと思います。

実は井川メンパというのはかつて一旦途絶えた経緯があるのをご存知でしょうか?

それを復活させたのがこの井川メンパ海野の創業者海野想次さんなのです。そしてそこを継いだ海野周一さんがお亡くなりになられてすでに五年半。そこには奥様とおばあちゃんがまだいらっしゃり、当時の工房をそのまま保存してくれているのです。



葵区井川の本村にビジターセンターというところがありますがその横が海野さんのご自宅です。すでにご商売はされていないので用も無いのにむやみやたらに訪問をするのは失礼ですので、興味を持たれた方はちゃんと手紙を出したりしてお伺いしたい理由がある方はコンタクトとられることをお願いいたします。

海野周一さんのお母さんは高齢ですがまだまだお元気の様子でした。時々往年のお客様がメンパの修理に持ち込んでくるときにおばあさんのお話をされます。独特の語りべでメンパを売って来たのでみなさんの記憶に残っているようですね。今回石関も半年頑張ってきて色々と井川メンパの何かしらを感じるように成長して来たように見えたのでご挨拶をさせていただいて来ました。


井川メンパ海野工房は当時のまま時が止まっていました。まるでまだそこに居るかのような息遣いすら聞こえてくるようなそんな感覚がしました。実は五年前に自分が井川メンパ望月から独立して千頭でやるようになってからすぐにこの海野工房を訪問させていただきましたが、その時はまだまだ未熟で何かを感じられる余裕は自分には無く奥様から塗り部屋にもどうぞと言われましたが、まだ周一さんが最後に塗ったメンパが室に並んでいるのを見てあまりに厳かな空気に部屋には入れなかったのを覚えています。今の自分ではここに足を踏み入れるにはあまりに不遜であると感じたのです。


ただこの5年間は自分にも諸々の成長があったのでしょう。感じる何かが格段に違って来たのを感じました。道具を見て、残された曲木を見て、作業台を見て、そこに残っている諸々の事象を眺めているとまるで会話をしているような錯覚に陥りそうになりました。
自分が思っていた孤独とか、井川メンパはそうあるべきだろうと言うイデオロギーの残滓。そう言うものが残されたものから実は読み取れるというか感じ取れるようになったのがわかりました。ああ、なるほど。海野さんが見ていた景色と未来はこういう感じなんだと。

ですから私は思うのですが、この工房がここにそのままの姿で今後もあり続けていただけることが石関含め未来の井川メンパ職人とか静岡の民芸をやる人間の1番の勉強になることを確信しました。今すぐに何かアクションできることは少ないですが、海野さんの残した工房をできるだけ長く維持していただきたいと須く立場のある人間は動くべきだと思うのです。例えば井川や静岡において政治力のある人間だとかがです。まあ、それは置いといて。



自分が感じたのは職人とはその手仕事の積み重ねの修練は、このような物から感じる能力を磨いていくというに似たようなものだろうと思うのです。言葉を超えた意識の共有とでも申しましょうか。

作業を覚えて、見たように動いて、考えることを忘れるほどに修練した時に産まれ出るものがあるでしょう。さらにはそこから先は、このように先人の残した躯体からそれらの思考を読み取る感性を磨くに至ればより早く前に歩めるように思うのです。ただ無闇に暗闇を歩けば人はいつか命を落とすでしょう。光明が僅かでも遠くに射してさえいれば、それを目指してなんとか歩き行けるものだと思うのです。その光明とはタイトルにあるように実は過去を眺める事だろうと前田は思っています。


先日ピーコさんとテレビで対談したのですが自分の口から思わず出て来た言葉がありました。 僕の師匠はこう言うメンパという存在を考え抜いてある意味完成した形に持っていきそれを原初に発想して具現化した人であり、それらを司ってきたその後の多くの先達全てであると。自分で言っておいて、まあまあかっけえこというようになったな俺って思いました(笑)


そうなんです。こういうネットを駆使できるようになった時代なのですから師弟制度、門閥制度から抜け出してどんどんと若い人はチャレンジして欲しいです。で、その時に大事なのは今言ったような感覚です。師を得るには深く過去を眺めよという事です。必ずヒントがある。そしてそこから得たものを未来へ投げ返していく。数十年先、数百年先のその人に投げ返す。未来への話なのに投げ返す?と思った人はまだまだ硬いです。未来だからこそ投げられるのです。我々の先達の中の突き抜けた感性人はおそらくそういう意識でいたと確信しています。


 ここで大事にして欲しいのは、己が為にと生きている人間は未来へ投げかけることなど最初からできないのです。自分の足元に、自分の為にしか投げれないのです。でもそれもその人の人生でしょう。ただ出来得るならばそういう境地に自らを向かわせて、己が生き様を未来へ投げかけるそういう井川メンパ大井屋的な生き方を一緒に誰かしませんか?という言葉を私も未来に向けて投げる良い機会になりました。

海野さんの奥さんにはお時間割いていただいてありがとうございました。



 久しぶりにおかずメンパとかタッパーメンパとか勝手に言ってますが、蓋付きの井川メンパをまとめて制作し在庫として店舗に出しました。実はこれ、お弁当箱としてもいいですけども、むしろ味噌入れなんかに使うのがベストだと前田は思います。昔の人もそういう風に使ってたんだと思います。味噌入れるとなんだかものすごくそれっぽいです。


ということで、このタッパーメンパも前田が井川メンパの過去を眺めていたからこそ復活させれたものだと思います。ぜひ民藝を目指すみなさんに於いては、過去からの暁光を感じる力を目指して欲しいと思ったりしました。今日は比較的真面目な前田くんでした。


ではお店ものんびりやっております。ご来店お待ち申し上げております。よろしくどうぞ

井川メンパを購入する前に知っておきたい10のこと
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お酢で拭け、米櫃に入れておけは間違いだの話
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井川メンパのお手入れの仕方
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井川メンパ大井屋の提携店
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050-5894-2806
maedapassion@gmail.com

営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜 木曜

井川メンパの塗り直しは1月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から。静岡県中部の方は店舗までお持ち込みください。

ただし大井屋で販売した大井屋印の井川メンパは年中いつでも修理対応いたします。また全国どこからでも郵送にて送ってください。優先して対応しております。

メンパは塗り直しだけではなくリメイクしてタッパー型のおかずメンパにすることができます。お弁当として引退したメンパはタッパーメンパにリメイクしてぜひご家庭にて使い続けてください。

ネーム入れのサービスも開始しました。詳しくは大井屋ブログを参照ください
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