やんばいでございます。静岡県特産大井川名物の曲りメンパと言えば井川メンパ大井屋店主の前田です。こんにちわ!

さてさて年末年始に幾つか貯めこんでいた本などを読んでいてちょっと滲み出てきたものを吐き出しておこうと思います。日本で絶滅しかけている曲げわっぱというものについて本日はぶっちゃけ自しておきます。寺じゃない方です。

まず曲げわっぱでネット検索してみましょう。するとwikiにはこんな感じで書かれています
曲げわっぱ
wikiに書かれている曲げわっぱ情報は概ね正解だと思います。昔からやっている生産者は全国でも10くらいしか無く、一部の国指定を貰っているところ以外は今後どうなるか不確定という感じです。
でも世の中に【曲げわっぱ】というものはけっこう売られており出回っていますよね?明らかに生産者の数に比べて多いと感じます。つ、ま、り。。。。そのほとんどが外国で機械でガシガシ作られているもの。がほとんどなのです悲しいかな。それをブランドつけて売っていたりします。消費者にはわからない構造になっていると思います。手作りようで手作りではなく、国産のようで国産じゃなく、いやもはや国産かどうかというよりも信が置けるか置けないかで考えた方がいいような気もします。どんな業界でもいえることですが。。。

日本中の民具や郷土工芸史を見てみると、明治大正くらいは国内のいろんなところで曲げわっぱが生産されていたはずなのになという臭いの残り香があります。でも昭和、戦争を経て生き残ったのがすでに今ある生産地なのかとは思うのですが、そこすらもだいたい先行きは不透明なのです。
我々井川メンパにおいても、私がぶっこんで行く以前は空前の灯火だったと自負しています。これは多分間違い無い。なんでそうなったか?そう。言いにくい話なんですが、ここは今回しっかり言いたい。結論から言います。

曲げわっぱは、いや曲がりメンパは簡略化や機械化しづらい木器だったのでそもそも儲けが出ないものだった(チコちゃん風でお願いします)

ということだと思います。儲けが出しづらい→つぐ人が居ない→自然淘汰。世の中にはこういう埋もれた民具はものすごいたくさんあったのです。その中の絶滅危惧種となった曲げわっぱ。ダーウィンに聞かせたい。

どっかの民芸館にあった古い曲げ物

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高性能な木工機械とかルーターとかを使って一瞬で挽物なんかは造れる時代になったかと思うのですが、こと曲げ物は木を曲げるだとか桜皮で塗って留めるだとか、漆を塗るとかあまりにも手作業でやらざるを得ない箇所が多かった、もしくは機械化すると見た目的にも曲げ物の範疇ではなくなる。
ということだったんだと思います。いろんな合理的なやり方は突き詰めていく必要がありますが、根本必ず人間の手作業を経ることが宿命とされている構造だったともいえるかと思います。機械化にも限度があるのです。本来コスト至上主義のイデオロギーにさらされては生き残れないものが曲げ物だった。のかもしれません

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手を抜く。というのには語弊がありますが、生産者が利益を出す為に様様な工夫を凝らそうとした時に漆を塗る木地という方法で考えると曲げ物のコストよりも刳物の方が俄然安上がりです。そして機械の進歩を経る度にこの差がどんどん開いて行くのです。挽物はどんどん安くなる。曲げ物は安くできない飽和点が早かった。だので曲げ物単体の木地屋が存在しないのはそれが理由だと思います。

漆塗りの曲げわっぱを職人が〇から百まで作ったとしてどのくらいのコストがかかっているのか?それはマーケットの売値を見てみれば一目瞭然なのです。総漆塗りでボンドを使わない昔ながらの曲げわっぱは一般的な男性向けのサイズ一組30000円くらいで売られています。漆の塗り方には様様ですので一概に言えませんが概ねこんな感じと思ってます。これが高いのか?
いや、実はこれが適正だと正直思います。その辺を詳しくお話しておきます。
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曲げ物というのは他の木器にくらべてボンドを使ったり、シンナー混ぜたりとコストを下げるやり方を採ったとしてもたかがしれている。というのが正直なところで、コストダウンの限界はすぐそこにあります。というのが正直な私の感想です。ですからむしろ合理化は置いといて逆にめんどくさい昔の本当のやり方に戻す。というのが私の真意なのですがそれは置いといて話は先へ。
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仮にですが工藝を会社組織にして集団で生産を行おうとした時に、一万円以下の価格帯の商品を主力にして生産した場合どのくらいの数と販売数が必要か?考えただけでもぞっとします。

つまり。言いにくい話なのですが補助金を受けたもの以外で生き残った曲げわっぱの生産地は軒並み恐らく家族を犠牲にした労働力で凌いで来たのだろうと思っています。だからそこから脱却するには一組三万円とか芸術品並みのそのくらいの高価格帯でなければ計算が合わないのです。正直なところ。だからそれらは適正だと言えます。むしろ井川メンパが不適切(笑)


福利厚生、社会保険、設備投資。そういったことを考えて行く時にどうやってこの値段で乗り越えましょうや?それを突き破るにはいろんな事をやらなけりゃならないんです。漆の植栽を学んでいるのも正にここです。今のままでは突破できないという想いです。
他が高過ぎるのか?否。井川メンパの価格設定が安すぎる。と正直思います。でもよくお客さんに言われるのですが、昔より高くなったね〜とかいう話。臭い嗅いでください。分解できないけど分解したらボンドで留まってますよ昔の。ということになってやっと理解してもらえる。でも、正直まだまだ安すぎるのです。

曲げわっぱ業界が縮小に縮小を重ねて来た現在。もう残ったところは皆が皆生き残っていくべきです。でも大丈夫だと思ってます。これだけ山があり、木材があり、都会が飽和している今。むしろ曲げわっぱの時代へ引張り戻しましょう。一生懸命良い物を造り情報発信を積極的に行えば、見ている人(本物をわかっている人)には絶対届く時代だからです。

今回こういう言いたくない話を公にしたのは大切にしたい文化を守るにはそれなりの覚悟が必要だということを感じたからです。私の真意は少しでも山とか木と関わる仲間を増やして行きたいという気持ちがあります。この人が入らなくなって鬱蒼としてしまった日本の山を少しでもメンパという方法論で切り開ける端緒を作った方が我々の社会にとっては利得が大きいと思うのです。大井屋の利得はぜんぜんですがあ。。。

ですから見た目や内容はともかく100円でも1円でも安い井川メンパが欲しい。と思っている人は大井屋ではなくデパートか駅前で購入してください。そもそも井川メンパじゃなくて外国製でもいいんじゃないでしょうか?ぜひ皆さんお弁当箱をお探しの場合はじっくりネットで検索しまくってください。まげわっぱのだいたいの真実は探せばすぐに見えてきます。その中で大井屋の事が気に入っていただけたのであればこれ幸い。冬メンパももう少しで出来上がります。その時は川根で千頭で会いましょう。

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メンパの塗り直しは2月8月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から
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