やんばいでございます。静岡県榛原郡川根本町は千頭にございます井川メンパ大井屋店主の前田です。こんにちわ。

さてさて日中は暑いですが朝晩はすっきりしてきましたね。雲がなく日差しが強いのに温度はそこまで上がらなく風のある日。そう、そんな日はうるしのクロメという作業に持ってこいなわけです。ということで本日は大井屋午前中はこのクロメをやりました。巷では天日黒目なんて言ったりするわけです。


黒目るというのはウルシを天日に晒して水分を飛ばし含水率を下げてあげることで、透明度が高くなり塗膜がぽってりとしてくれるうえに耐硬性が上がるという素晴らしい昔ながらのうるしの精製作業を言います。
本来の未精製な漆液は水分が含まれていると乳白色をしています。
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今回は中国産ニキロに国産をニ百グラム混ぜてみました

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数年前に漆掻きの師匠の高橋康夫さんが採った荒味漆をチューブで分けていただいたのがあったので一緒にクロメました。今年の秋メンパはなんと贅沢なんでしょう。コストを考えると絶対できないんですが、これは高橋さんがくれたので塗りにも使ってみたくなり今回投入させていただきました。

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クロメのやり方は産地や家によってだいぶ違うようなのですが、要は素早く温度を上げすぎずに水分を落としていくこと。ということで昨年登場しました大井屋の最終兵器これが船です。
元は和服を入れておく桐で出来た長細のものを改良しました。これがまた機動力があって扱いやすいのです
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水分が減ってくると透けた飴色になります。これがいわゆる透けうるしとなるわけです。

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扇風機もあった方が温度も上がりにくく素早くクロメられるかと思います。

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漆問屋では電熱で大量にやるので高温にさらされる時間が長いという問題があると思います。ラッカーゼの酵素反応は温度に敏感なので温度が上がらないうちに素早くやるのが大事だと思うのです。つまり欲張らず少量を一気に黒目る為に船を3つ使ってます。これたぶんとっても大事な要素なのでメモっといてください。

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最後は桶に戻してあげてすぐに漆専用の冷蔵庫へ。漆は常温で保存するよりも低温で管理するべきだと思います。実際常温で保管してしまうと数年経つと硬化が遅い等があります。ラッカーゼの活動が鈍くなっているのだと思います。昔の人も壺にいれて土中で保管したり井戸に沈めてたなんていう話を聞きますので、漆を扱う人はぜひ低温保管をしましょうね。

ということは漆掻きをやってからどれくらいの時間で低温管理まで持っていけるかはけっこう大事だと推察出来ます。昔のスタイルでは一夏やりきって漆をまとめて問屋に売ってそこから選別されて保管されるまで数ヵ月はあったと思うので、現代なら採ったその晩から低温管理できるともいえると思います。高橋さんいわく漆を採ったその晩に漆の保管壺から漆が吹き出ることがあると言います。これはこれで塵の分別や漆の撹拌ということで大事なようなのですが、漆のエネルギーが無駄に溢れてしまっているとも言えるかもしれません。実際先日下地に使った鍵穴の漆は採った翌日から低温保管しました。とても強い漆でした。

クロメをやって漆駅の温度管理の重要性に気づいたりする。

メンパは学びの連続ですがなかなか面白いものです。ぜひ若者に興味を持っていただきたい。集えウルトモ(うるしともだち)なのです。

諸々のお問い合せは井川メンパ大井屋まで

静岡県榛原郡川根本町千頭1225-8
050-5894-2806
maedapassion@gmail.com

営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜

メンパの塗り直しは2月8月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から
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