やんばいでございます。井川メンパという駿河と遠州と甲斐の狭間的山奥で産まれた漆塗り曲げ物をやっております井川メンパ大井屋店主の前田でございます。こんばんわ!あの山奥は境界が曖昧なので今後は甲駿遠メンパとでも申しましょうか?が、それはちょっと美味しいところを摂り過ぎておりますので自重することにします。ということでご存知いつもの井川メンパで参ります。


さて与太話もこのくらいにしまして、最近ブログを書こう書こうと思いながらも忙しくしていたので情報発信が出来ておりませんでした。
反省を込めて連続ブログアップしておきます。ここ最近忙しいなりに感じたこと、考えていること、そういうもろもろでございます。


メンパのルーツ探しで行き着いたのは、山の民に総称される高度技能集団コミュニティと浄土真宗と修験道の裏歴史的な混合について。というまたわけのわからんものを追いかけ始めたのですが、メンパのルーツ探しは我が身のルーツ探しでもあるのでいろいろ雑食状態で古書などを読んでおるわけです。で、どうしても気になることから物語が始まりました。

それは私の井川側ルーツの家系が浄土真宗だということ。実は浄土真宗というのは静岡ではかなりマイナーなのです。静岡県というところは禅宗がメジャーなのです。それはなぜとか話すと長いので割愛しときますが、とにかくなんでそんな稀少状態の浄土真宗をぽつねんと静岡の山奥でやっていたのか?そのあたりは金山と関係してくるようです。浄土真宗がパンデミックのように中世社会に広がる過程で塗師だとか杣氏だとか金山衆だとかいわゆる荘園社会に属せない側のコミュニティを取り込んでいったからのようですが、このへんも長いので詳しくはまた後日なにかの機会に。

以前メンパとは金山と大きな関係性を持っていると曲げ物木地の機能的な部分から推測して少しお話したことがあったように思います。
今回は金山運営という技能集団について掘って行く過程で浄土真宗とぶち当たり、そういえば本家は浄土真宗だったなと帰結したわけです。なんの因果でしょうか私も親鸞開祖の龍谷大学を卒業したのですがこれも何かご縁なのでしょう。若き日々は露知らずで屑のような学生生活を送っておったのですが、人生というのは面白いものですね。かなり遠回りしていろいろなものに導かれてきたように思います。

井川の小河内の奥には山伏峠というところがあります。ヤンブシと読みますが修験道というものも仏教とは別軸で日本の中世文化を形成しているのは間違いないのです。ということで現在こちらも掘ってはいるのですがちょっと私には難しすぎるかもしれません。ただ地名にもあるように奥大井にはかなり修験道と関係していると推測できる地名が残っているように見えます。全国の工芸を紐解くのに地名からのアプローチをしていくというのも面白いかもしれませんね。ということで継続して奥大井の地名を勉強していきたいと思っています。


ちょっとつかれたので娘の写真をどうぞ
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かわいいです。メンパつくってる場合じゃないです。
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さて可愛い娘は置いといて難しい話の続きです。

こんな感じでメンパのルーツやら山岳民族その精神性等を知りたくて追いかけている2019年でございます。
後は、農薬とうつ病の関係性をネオニコチノイド系農薬の害から追いかけていることがあります。メンパ屋とはまったく関係無いことのように見えますが、追えば追うほどに我々の現代の生活スタイルの危うさを感じているのでこれはこれで漆器への取り組み、漆の植栽への取り組みに大きな影響を与えてきそうです。とにかくメンパは、いや漆は現代の俺達ネイティブケミカル世代を救うかもしれないと本気で思っております。このへんも話すと長くなりすぎてメンパどころではなくなってくるのでまた詳しくは機会があればお話します。


こんな風に雑多に見えますが一応全てにおいてメンパ制作に帰結する形で諸々を吸収し思考しているつもりなのですが、そういう生活スタイルもここにきてだんだんと変化の兆しが己の内に見えて来ております。

工芸などを本気で取り組めば組むほど正直浮世離れしてくるものです。自己の内面に没入して輝くような素晴らしい何かを生み出すこと。それも工芸だと思いますが、ただどうやら私が目指しているのはそれではないのです。そういった自力の果てに何かを掴みたいとそもそも思っていないのだと思います。そういう自力の局地の生活と人生とを切り離すこととはまったく逆で、むしろ全てを包括して良いも悪いも無しにメンパを作りたいとどうやら思っているのかもしれないと最近気づき始めたのです。

 そうとなればだんだんと見えてくる部分があります。いつまでも孤独の殻に閉じこもっていてはならないということをです。

大井屋をスタートさせてから丸2年半が経ちました。メンパの修行に入ってからだと丸4年経ったところです。
頑張ったなと思う部分もあれど、これだけ時間とエネルギーを使ってまだこの程度か。。。と残酷な時間の有り様に慄く己もおります。
そしてその孤独の力の強さもわかるのですが、それは他力を抱えるならば本当に微々たる自己満足でしかないことなのです。
年齢は40となりました。頃合いなのかもしれませんねと最近考えるようになりました。
井川メンパの道は我が一人歩く道ではないと常々思っておるつもりですが誰かと分かち合いもっと太い大道にして後世のメンパ職人が歩き易い、駆け出しやすい導入路を造っていかなければならないということを感じています。

工芸において孤独の力は絶対的に必要要素ではありますが、そこに埋没している時間はあまり長く取っていたら私の場合はあっという間に人生終わってしまう気がしています。頃合いなのかもしれませんね。とどこからか聞こえる気がします。

ということでそんなこんなを考えておりますので今後もどうぞよろしくお願いします

諸々のお問い合せは井川メンパ大井屋まで

静岡県榛原郡川根本町千頭1225-8
050-5894-2806
maedapassion@gmail.com

営業時間 9;00-17;00
定休日 水曜

メンパの塗り直しは2月8月にまとめて行っております。塗り直し代金はSサイズ3千円から
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