やんばいでございます。川根本町井川めんぱ大井屋前田です。こんばんわ。
さてさて本日はひたすら水研ぎの作業でした。大井屋では漆の中塗りが終わって1週間程空けてから水研ぎをしています。ただ本当はできるだけ置いてから作業したいのですが、メンパというものは何年もかけて制作するものではないのでこれくらいが作業の歩留まりに影響がでない期間かなと思ってます。ただしっかりと硬化した後に研ぎ上げると塗膜面の輝きが違うのは事実かと思います。

じゃあ、漆はどのくらいで固まるのか?というとことですよね。
ちなみによくお客様に聞かれるのが「すぐに使ってもいいですか?」という質問。
一般的に漆というのは塗ってからだいたい90日前後で劇的に硬化が進むとされています。その後は何十年とかけてゆるやかに硬化が進行してゆくと言われていますが、湿度や気温に影響されやすい酵素系の塗料になるわけですのでなんともはっきりとは申し上げれないですが、概ね3ヶ月後が正解かと思います。
大井屋では最近めんぱに何月に塗ったのかわかるように札を入れるようにしていますので、だいたいどのくらいになっているかわかるようにしました。
案内している目安として塗ってから一月くらいしたら使用しても良いですが、漆の塗膜が柔らかいので3ヶ月するくらいまでは丁寧に扱って欲しいとお願いしております。

実際1ヶ月くらいではまだ表面がべとついている時もあるので、めんぱが入りづらい時もあります。この状況で使っているとどうしても塗膜にお箸の後が着いたりとか、凹みやすいのです。

いずれにせよ、しばらく置いてからの方が色味の透け具合もよくなっていますので出来れば少しがまんしてから使ってもらえると気持ちも昂って良いではないでしょうか?本当はこちらで置いてから販売したいのですが、常に在庫不足な状況でお待たせしていますので恐縮ではありますが現状はお客様のご判断にお任せしております。

さてタイトルのこと。めんぱはひらがななのか?片仮名なのか?どっちなの?というところ。

井川メンパは現在静岡県指定郷土工芸品という扱いになっています。
その登録は片仮名です。どうして片仮名になったのか?いつからそういう共通認識になっているのか?正直私は知りません。修業時代に師匠に問うたところでもわからないとのことでした。

ただ個人的な語感で行くと自分としては『メンパ』よりも【めんぱ】の方がぐっときます。
というのも、井川のめんぱはもともと丸型だけでした。いまでこそ小判型が主流になっていますが、元祖は丸型だったんですね。丸型のころころとして頑丈な風合い。そういうイメージが強いので言葉にどうしても円味を求めてしまうのです。そこでいくと、片仮名よりも平仮名の方がしっくりくると思いませんか?

井川メンパ・井川めんぱ・イカワメンパ・いかわめんぱ・IKAWAMENPA

どっちでも良いと言えば良いですし、こだわりたいと言えば平仮名かな?という感じではあります。ですので基本的には大井屋ではひらがな表記にしていますが、場合によっては片仮名も使っています。ケースバイケースで使い分けているのが現状の運用です。
_MG_2111
















今まで長い間片仮名表記で出ていたものですので、特段急ぎひらがなにする理由も無いかと思います。
ただあくまで個人的な好みでひらがなの方がなんかいいよね。という感じですので将来的にはゆるやかにそういう認識になったら良いなと長めな計画で周知して行きたいと思ってます。


言葉というのは面白いもので、その語感で人はだいたいのイメージを持つことができます。

片仮名のちょっとソリッドなイメージよりも平仮名の円味感を求めたい私の深慮にはどうも丸型の復興という命題がちらついているように思えます。

小判も良いところがあるけれど、もっともっと丸型を皆さんに使って欲しい。ただそれだけでもあります。丸型でも小判型と同じ一寸五分の浅口タイプというのも作っています。おかず映えすると思いますし丸型はなによりも丈夫。そして長く長く愛していけるかと思います。

これからも皆さんがどんな形を欲しているのか?出来る限りそれを具現化してゆきたいと思ってます。ぜひご意見ございましたらお知らせください。

今後も井川メンパめんぱ大井屋の活動をご贔屓いただければ幸いです!